【発行国】 日本国特許庁(JP)
【公報種別】 特許公報(B2)
【特許番号】 特許第4157139号(P4157139)
【登録日】 平成20年7月18日(2008.7.18)
【発行日】 平成20年9月24日(2008.9.24)
【発明の名称】 側溝蓋
【国際特許分類】
  E03F  5/04   (2006.01)
  E01C 11/26   (2006.01)
  E01C 11/24   (2006.01)
【FI】
  E03F 5/04    D
  E01C 11/26    B
  E01C 11/24
【請求項の数】 3
【全頁数】 11
【出願番号】 特願2006−195972(P2006−195972)
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【分割の表示】 特願2004−100037(P2004−100037)の分割
【原出願日】 平成16年3月30日(2004.3.30)
【公開番号】 特開2006−312873(P2006−312873A)
【公開日】 平成18年11月16日(2006.11.16)
【審査請求日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【特許権者】
【識別番号】 503263425
【氏名又は名称】 泉建設株式会社
【住所又は居所】 富山県富山市亀谷591番地1
【代理人】
【識別番号】 100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】 石田 喜樹
【発明者】
【氏名】 泉 英之
【住所又は居所】 富山県上新川郡大山町亀谷591番地1 泉建設株式会社内
【審査官】 加藤 範久
【参考文献】
【文献】 特開昭61−049006(JP,A)
【文献】 特開平02−157303(JP,A)
【文献】 特開平05−272109(JP,A)
【文献】 特開昭61−109810(JP,A)
【文献】 特開2002−235364(JP,A)
【文献】 実開昭62−094180(JP,U)
【文献】 実開平01−079683(JP,U)
【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F   5/04
E01C  11/24
E01C  11/26

【特許請求の範囲】
【請求項1】
 透水率が極めて低い金属、合成樹脂、木材のうちの一種からなる透水率が極めて低い素材を用いて形成され、多数の小孔を有する底面部材と、
 底面部材の上面側に形成され、当該底面部材よりも透水率を高くした舗装材と、
 底面部材または舗装材にかかる側面側周囲の全部または一部に対応して設けた水路と、
 底面部材の周縁部に形成され、舗装材と水路との間で水の供給と排出を行うための孔を備えた壁面部材とを有し、
 底面部材と壁面部材とで囲まれる凹部に舗装材を敷き詰めて舗装面を形成して側溝の上面開口部を覆うように取り付けられる側溝蓋。
【請求項2】
 水路は、筒状に形成するとともに、壁面部材に備えた孔の位置に合わせて外周面に孔をあける構成としたものであることを特徴とする請求項に記載の側溝蓋
【請求項3】
 舗装材の内部に金網を埋め込んだことを特徴とする請求項1又は2に記載の側溝蓋

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
 【0001】
 本発明は、側溝の上面開口部に取り付けられる側溝蓋に関する。
【背景技術】
 【0002】
 従来、融雪を目的とした装置には、平板に埋めた放熱パイプに水蒸気等の熱媒体を流すことにより融雪する技術(例えば特許文献1参照)や、発熱体をコンクリート体に埋め込んでコンクリート体を熱して融雪する技術(例えば特許文献2参照)が知られている。
  【特許文献1】 特開2002−188108号公報(第4−6頁,図1
  【特許文献2】 特開2001−193008号公報(第4−7頁,図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
 【0003】
 しかし、上記従来の技術は、放熱パイプに熱媒体を流し込むことから、熱媒体を供給する設備が必要であったし、熱媒体を熱するのに膨大なエネルギーを必要とし設備やその維持に大きなコストが掛かっていた。また、コンクリートを打つには養生期間等が必要となるために施工に日数が掛かることから、工期の短縮が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
 【0005】
 請求項1の発明は、透水率が極めて低い金属、合成樹脂、木材のうちの一種からなる透水率が極めて低い素材を用いて形成され、多数の小孔を有する底面部材と、底面部材の上面側に形成され、当該底面部材よりも透水率を高くした舗装材と、底面部材または舗装材にかかる側面側周囲の全部または一部に対応して設けた水路と、底面部材の周縁部に形成され、舗装材と水路との間で水の供給と排出を行うための孔を備えた壁面部材とを有し、底面部材と壁面部材とで囲まれる凹部に舗装材を敷き詰めて舗装面を形成して側溝の上面開口部を覆うように取り付けられる側溝蓋である。
 【0006】
 底面部材は、四角形状で形成するのが加工容易な点や低コストな点等で望ましいものの、多角形状(三角形状,五角形状,六角形状等)や円形状(楕円形状を含む)等のように任意の所定形状で形成してもよい。底面部材の素材(すなわち材質,材料)は、水が全く透過しないか、透過したとしても微量に限られる等のように、透水率が極めて低ければ任意である。例えば、金属,合成樹脂,木材等のような素材が該当する。
底面部材の上面側に形成した舗装材は、平面でみると底面部材とほぼ同じ形状になる。当該舗装材は、底面部材よりも透水率が高ければ任意の素材で形成してよい。例えば、骨材と接着剤とを所定の混合比率(すなわち透水率に見合う比率)で混合して形成してもよい。骨材には、資材(主に工業用資材)を用いてもよく、廃材(自然廃材および工業廃材を含む。)を用いてもよい。骨材の例としては、コンクリート片,プラスチック片,石類(砂,砂利,石片等を含む),籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップ等が該当する。
 【0007】
 また、連続的または間欠的に水を供給することにより、融雪を継続できる。直射日光により舗装体(特に舗装面)が熱される夏場等は、同様に舗装面に水を溢れ出させることで、熱された舗装体を冷却するとともに、水が蒸発して周囲の気温を下げるので、心地良い環境を提供できる。逆に水の供給を止めて水路を排水管として使用すれば、降雨時に舗装面から浸透してきた雨水は水路に流れ出て排出されるため、水溜まりができない。
 【0009】
 請求項の発明は、請求項に記載の発明において、水路は筒状に形成するとともに壁面部材に備えた孔の位置に合わせて外周面に孔をあける構成とした。
 この構成によれば、壁面部材に備えた孔ごとに、水路から舗装材に水を確実に供給し、或いは舗装材から水を水路へ排出できる。
 【0011】
 請求項の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、舗装材の内部に金網を埋め込んだことを特徴とするものである。
 この構成によれば、不足分の剛性を補える。

【発明の効果】
 【0012】
 本発明によれば、水路に水を注入すると舗装面から溢れ出るので、熱源を必要とせずに雪を溶かすことができる。また底面部材を備えたので、従来のようなコンクリートを打つ際の養生期間が不要となり、従来よりも工期を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
 【0013】
 以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る舗装装置の一例を示す説明図であり、透水性舗装材を敷設する前の舗装施工面を平面で示している。当該図1には、透水性舗装材を敷き詰める舗装施工面1、水を汲み上げる揚水ポンプ2、給水量を調整する取水バルブ3、排水量を調整する排水バルブ4,5などを表す。舗装施工面1は、複数のケース6と水路7から構成され、図1ではケース6を4行5列で敷き詰めた構成を示し、これらケース6と水路7の上部が透水性舗装材で敷き詰められて舗装面が形成される。排水バルブ4は、水源から流れてくる水以外の大きなゴミや異物を水の力を利用して取り除く際にも開閉する。これに対して排水バルブ5は、取水バルブ3から入ったり、透水性舗装材11の表面から進入した小さな異物を取り除くと共に装置内の水を排水する際にも開閉する。
 【0014】
 一のケース6を拡大して表す図2には、平面図を図2(a)に示し、縦断面図を図2(b)に示し、図2(a)におけるH−H線断面図を図2(c)に示す。当該ケース6は、所定の厚さ(例えば1.5mm)のステンレス製鋼板をプレス成型して作製され、底板6aの周縁部に側板6bを有し、上部を開放して一体形成されている。底面部材に相当する底板6aは、所定形状(例えば1辺が600mmの正方形状)で形成されている。壁面部材に相当する側板6bは、所定の高さ(例えば20mm)を有している。当該側板6bには孔6cが設けられ、孔6cを介してケース6内に水を供給、或いはケース6内の水を排出可能となっている。図2に示すケース6の例では、所定の深さ(例えば約10mm)となるように形成され、また周縁部が一段深く(例えば約20mm)なるように形成されている。図2(b)に示す凹部状の空間には、舗装材に相当する透水性舗装材11を敷き詰める。敷き詰めた後の状態を図2(c)に示す。
 尚、図2(c)において、水路7を構成する水路管10は、側板6bにあけた孔6cと通ずるように接続する。また、水路管端部Pは孔6cの位置を分かりやすくするために表したにすぎず、孔6cに突起が形成されている訳ではない。
 【0015】
 水路7は次のように構成されている。図3図5は水路7を構成する水路管10を示し、各水路管10は腐蝕を防ぐためにアルミで作製されている。図1のA1部及びA2部に使用される水路管(第1水路管)10aについて、平面図を図3(a)に示し、正面図を図3(b)に示す。図示するように、第1水路管10aは、ケース6の一辺の長さと略同一の長さで断面四角形の筒状に形成され、一方の側面(すなわち外周面)には複数の孔12があけられている。具体的には、水路設置幅を考慮して615mmと僅かに長く形成し、孔12の径を10mm、突起量を10mmとして形成されている。
この孔12はケース6の孔6cに合致するよう形成され、個々の孔12が孔6cに挿入されて第1水路管10aは設置される。また、舗装面の縁を形成する他方の側部には透水性舗装材11を保持するための堤壁13が形成されている。当該堤壁13は壁面部材にも相当する。A1部及びA2部に使用される第1水路管10aは、水の流入部或いは流出部を構成するため、後述する水路管10b,10c等よりも大きな径で形成されている。
 【0016】
 そして、図1のB部に使用される水路管(第2水路管)10bについて、平面図を図4(a)に示し、正面図を図4(b)に示す。第1水路管10aと同様にケース6の一辺の長さと略同一の長さで断面四角形の筒状に形成され、一方の側面に複数の孔12が突き出して設けられている。孔12の寸法等は、第1水路管10aと同様に形成され、この個々の孔12が孔6cに挿入されて第2水路管10bは設置される。また、舗装面の縁を形成する一方の側部には透水性舗装材11を保持するための堤壁13が形成されている。
 また、図1のC部に使用される水路管(第3水路管)10cについて、平面図を図5(a)に示し、正面図を図5(b)に示す。図4と同様に、ケース6の一辺の長さと略同一の長さで断面四角形の筒状に形成され、双方の側面に複数の孔12があけられている。孔12の寸法は、第1水路管10aと同様に形成され、個々の孔12が孔6cに挿入されて第3水路管10cは設置される。
 【0017】
 図1に示すE〜Gの各断面について、E−E線断面を図6(a)に示し、F−F線断面を図6(b)に示し、G−G線断面を図6(c)に示す。但し、透水性舗装材11を敷き詰めた状態の断面を示している。これら断面図に示すように、ケース6内及び水路7の上部(水路管10の上部)には透水性舗装材11が敷き詰められ、舗装面は凹凸無く一様に形成されている。また、舗装施工部周囲は、水路管10に設けた堤壁13により囲まれ、端部が崩れることが無い。透水性舗装材11は、例えば粒径1〜15mmの砂利等の骨材同士を例えばエステル系高分子ポリマーを主成分とする接着剤で固めたものを使用でき、骨材間に隙間を有して水が透過できる。骨材の種類と骨材の粒径との組み合わせ、さらには混合する接着剤の単位当たり重量によって、目的の透水率からなる透水性舗装材11を形成することができる。
 【0018】
 次に、上記構成例の舗装装置の施工手順を説明する。まず、舗装する路面を周囲より約10mm掘り下げて整地し、水路7の位置は20mm掘り下げる。また、取水バルブ3を設けた図1に示すA1部と排水バルブを設けたA2部とは、水路形状に合わせて更に10mm深い溝を形成しておく。そして、ケース6及び水路管10を順次敷設して行く。
 【0019】
 図7は、ケース6と水路7の組立説明図を示す。図示するように流入辺であるA1部、流出辺であるA2部と、側面を形成する左右B部と、ケース間となるC部とで上述する異なる水路管10(10a,10b,10c)を配置して敷設して行く。水路管10同士の連結は、連結管14を用いて行う。当該連結管14は連結手段に相当し、連結する水路管10に合わせて3種類で構成され、ボルト止め等で堅牢な連結を実施できる。このような連結により、各ケース6は周囲の水路管10で拘束されるので安定して状態を保持でき、位置ズレを起こすことがなくなる。したがって、ケース6の周囲からコンクリートブロック等で固定する必要がなくなる。図示するように複数のケース6を四方にほぼ隣接して敷設する場合には、位置ズレに対する安定度がより高まる。また、流入口部材16には取水バルブ3が取り付けられ、流出口部材17には排水バルブ4が取り付けられ、ドレン口部材18には排水バルブ5が取り付けられる。また、上述した水路管10はアルミで作製したが、腐蝕を防ぐ素材としてはステンレスで作製しても良いし合成樹脂で作製することもできる。合成樹脂製であっても、接着剤を用いて容易に且つ堅牢に連結できる。
 【0020】
 そして、ケース6の孔6cに、突起形成した孔12を挿入することで水路管10は確実にケース6に接続される。尚、連結管14と水路管10の連結部、或いは水路管10とケース6の接続部での漏水を確実に防ぐ必要がある場合には、連結部や接続部に防水シールやコーキングを施すと良い。また、取水バルブ側であるA1部から排水バルブ側であるA2部に向けて緩やかな下り傾斜(例えば1〜2%程度の水勾配)とすれば、舗装面に溢れ出た水が排水バルブ方向へ流れ易くなるため好ましい。
 こうして、ケース6と水路7の敷設が終了して舗装施工面が形成されたら、舗装施工面全体に透水性舗装材11を流し込み舗装面を形成する。流し込んだ透水性舗装材11は、ローラー等でほぼ平坦にした後、固化させれば舗装面が完成する。
 【0021】
 一方、流入口部材16に取水バルブ3、及び必要な配管をして揚水ポンプ2を接続する。また、流出口部材17に排水バルブ4を取り付ける。図8は、こうして形成した舗装装置を模式的に示した縦断面図である。当該図8に図示する矢印は、揚水ポンプ2で汲み上げた水の流れを表す。汲み上げた水は舗装面20に溢れ出し、やがて排水路19に流れ落ちて行く。但し、図8では取水口と排水口を同じ排水路19に設けた場合を示している。
 【0022】
 尚、既にコンクリート等で舗装された施工場所に対しては、当該コンクリート等を削り取ることなく本発明の舗装装置を設置することもできる。この場合、ケース6と水路7からなる舗装施工部背面の凹凸による隙間が無くなるよう路面上にモルタル等を流し込み、その上からケース6及び水路7を設置し、最後に透水性舗装材11を流し込めば良い。この施工法により、既にコンクリート等で舗装された玄関先や階段ステップ等に対して、コンクリート等を取り除く事無く、その上に設置することができ、容易に且つ短期間で本発明の舗装装置を設置できる。
 【0023】
 こうして舗装装置は形成され、揚水ポンプ2を稼働させて外部から水路7に供給すると共に排水バルブ4を閉めると、供給された水はケース6に設けられた孔6cから各ケース6内に流れ込む。そして、透水性舗装材11を通って舗装面20に溢れ出る。この際、各ケース6内の透水性舗装材の厚みは均等なので、水は各ケース6の表面(すなわち舗装面20)から均等に流れ出す。
この作用により、降雪時に舗装面20を水で浸せば、その水により雪を溶かすことができる。即ち融雪作用を奏し、熱源を必要とせずに降雪時は雪を溶かすことができる。底板6aを備えたので、従来のようなコンクリートを打つ際の養生期間が不要となり、施工に要する工期を短縮することができる。
 【0024】
 また従来では、夏場の直射日光で熱された平板を冷やすには打ち水をするしかなかったが、舗装面20に水を溢れ出させることで、熱された透水性舗装材11(特に舗装面20)を冷却することができ、しかも溢れ出た水が蒸発して周囲の気温を下げるので、心地良い環境を提供できる。
さらに、従来では施工場所によって降雨時に水溜まりができやすかったが、揚水ポンプ2を止めて水の供給を止め、水路7を排水管として使用すれば、降雨時に舗装面20から浸透してきた雨水はケースの設けた透孔から水路7に流れ出るため、水溜まりができることは無く、水捌けが良くなる。従って、降雨時でも歩き易くなるし、車が通過した際に水はねの発生もない。更に、湧水作用により、透水性舗装材11の隙間に入り込んだゴミや塵を流し出すことができ、清潔さを保持することができる。
 【0025】
 そして、施工に関しては、金属製のケース6を設けることで、当該ケース6が土間コンクリートのような作用を奏し、別途路床や路盤に堅牢な遮水層を設ける事無く施工でき、簡易な工事で短期間に施工できる。また、ケース6の連結数に合わせて水路7も水路管10を連結して形成される。この場合、水路7はケース6の側面側(すなわち側板6b)にかかる周囲のほぼ全部に対応して設ける形態だけでなく、施工環境によってはその一部に対応して設ける形態もある。いずれにせよ、水路7の長さは水路管10を連結することによって容易に変更でき、長さの異なる水路管10を用意しておく必要がないし、ケース6は作業者が運ぶことができる重量で作製できるので、施工が容易である。
更に、揚水ポンプ2により水を汲み上げて水路7に供給するので、水圧不足により水が溢れ出なくなる心配がない。排水を汲み上げれば排水の有効利用ができる。循環させることも可能であり、この場合には一定量以上の水を必要としない。融雪する際に雪解け水を利用すれば外部から水を調達しなくて済む。
 【0026】
〔他の実施形態〕
上記実施形態では、1辺が600mmの正方形状でケース6を形成したが、この寸法や形状には限定されない。すなわち、階段のステップを施工する場合には例えば200mm程度の幅のものが好適であるし、広場等のように大面積を必要とする施工場所の場合には1辺が600mmよりも大きなサイズのものが使用できる。高さ(深さ)は最大部位で20mmとしているが、10〜50mmが好ましいものの、これらの寸法に限定されない。形状については四角形に限らず、多角形状(三角形状,五角形状,六角形状等)や円形状(楕円形状を含む)等のように任意の所定形状で形成しても良い。
さらに、ケース6は底板6aと側板6bとを一体形成したが、別体に形成したうえで両者を組み立て可能な形態(差し込みや嵌め合わせ等)としてもよい。底面部材は周縁部(すなわち底面の一部)に凹凸を設けた底板6aを適用したが、施工場所の状態に合わせて凹凸のない底板を適用したり、底面のほぼ全部に凹凸を設けた底板を適用したり、複数枚の底板を用いて一の底面部材を形成してもよい。
 【0027】
 上記実施形態では、水路7を断面四角形筒状の水路管10を用いて形成したが、円筒管を用いることもできる。また、水路管10の孔12を突き出して形成し、対応するケース6の孔6cを単なる孔としたが、逆にケース6の孔6cを突き出して形成し、水路管10の孔12を単なる孔としても良い。
 【0028】
 上記実施形態では、揚水ポンプ2で汲み上げて送水したが、上水道の水圧を利用したり、上方に位置する河川や水槽等の位置エネルギーを利用して送水し、舗装面20に水を溢れ出させることも可能であり、その場合は揚水ポンプ2は不要になる。
なお、揚水ポンプ2は水を汲み上げる機能を有するので、取水装置として用いたり兼用することもできる。揚水ポンプ2の電力は、自然エネルギーを利用した発電装置(例えば風力発電機や太陽電池等)または蓄電装置(例えばキャパシタや蓄電池等)などから得るのが望ましい。こうすれば、外部から調達すべき電力を最小限に抑えることができる。
 【0029】
 上記実施形態では、ケース6をステンレス製としているが、腐食し難い性質であれば他の金属でも使用でき、例えば銅板で作製しても良い。金属以外では、合成樹脂や木材等で作製しても良い。このように水が全く透過しないか、透過したとしても微量に限られる等のように、透水率が極めて低ければ任意の素材でケース6を形成できる。よって本発明にかかる舗装装置は、土間や路面に限らず、屋根材としても利用することが可能になる。
 【0030】
 上記実施形態では、連結手段として連結管14を用いたが、他の手段によって水路管10を連結してもよい。第1の手段は、水路管10の一方側先端の直径を他方側先端よりも細く(または太く)形成し、当該一方側先端を他方側先端に押し込んで連結する方法である。第2の手段は、二以上の水路管10を突き合わせ、その突き合わせた部位にソケットを用いて接着剤で連結する方法である。第3の手段は、水路管10の一方側端部を雄ネジに加工し、他方側端部を雌ネジに加工し、管をねじ込むことで連結する方法である。第4の手段は、熱で溶融する素材を用いて水路管10を形成し、バーナー等で熱することで二以上の水路管10を溶かして連結する方法(溶着接合)である。第5の手段は、突き合わせた二以上の水路管10をテープやシール等を巻きつけて連結する方法である。いずれの手段にせよ、二以上の水路管10を確実に連結することができる。
 【0031】
 上記実施形態では、本発明にかかる舗装装置の施工場所として、路床や路盤、既にコンクリートで舗装された場所(例えば玄関先,階段ステップ,駐車場等)などのように、通常状態(雨が降った場合を除く)は水が存在しない場所に適用した。この形態に限らず、通常状態で水が存在する場所にも適用することが可能である。例えば平面図で示す図9(a)と、縦断面図で示す図9(b)とに表すように、側溝22(本例ではU字型)にかかる底面部分の一部をくり抜き、当該くり抜き部分に舗装装置24を嵌め込む構造とする。水路管26は上述した水路管10(10a,10b,10c)に相当し、排水管として用いる。当該水路管26と側溝22の外部に配した導水管28とを連結し、透水性舗装材11より浸透してきた水を集水し、下流側の施設に水を誘導する。したがって、河床部取水側溝として利用することができる。この構造によれば、舗装装置24は側溝22に簡単に取り付け/取り外しができ、目詰りが生じたときでも清掃が容易に行える。また、透水性舗装材11の隙間はそれほど大きくないので、大きなゴミは側溝22をそのまま流れてゆき、導水にあたってスクリーンや水門等が不要になる。
 【0032】
 上記実施形態では、底板6aを透水率が極めて低い素材で形成したので、下方に水が漏れることが殆どない。この底板6aに小孔を多数あけて、積極的に下方に水を漏らす構造としてもよい。例えば底面図で示す図10(a)と、縦断面図で示す図10(b)とに表すように、底板6aに小孔32を多数あけた舗装装置30を形成し、側溝34を覆う蓋として用いる。なお舗装装置30を形成するうえで、透水性舗装材11のみでは剛性が不足する場合には、透水性舗装材11の内部に金網を埋め込んで形成すると不足分の剛性を補える。したがって、側溝蓋として利用できるとともに、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
 【0033】
  【図1】 本発明に係る舗装装置の実施形態の一例を示し、透水性舗装材を敷き詰める前の説明図である。
  【図2】 ケースを示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)は舗装材を充填した状態のH−H線矢視断面図である。
  【図3】 図1のA1部,A2部の水路管を示し、(a)は平面図、(b)は正面拡大図である。
  【図4】 図1のB部水路管を示し、(a)は平面図、(b)は正面拡大図である。
  【図5】 図1のC部水路管を示し、(a)は平面図、(b)は正面拡大図である。
  【図6】 図1の部分断面図を示し、(a)はE−E線矢視断面説明図、(b)はF−F線矢視断面説明図、(c)はG−G線矢視断面説明図である。
  【図7】 ケースと水路の組立説明図である。
  【図8】 本発明の舗装装置を模式的に示す縦断面説明図である。
  【図9】 本発明の舗装装置を河床部取水側溝として適用した例を示す図である。
  【図10】 本発明の舗装装置を側溝蓋として適用した例を示す図である。
【符号の説明】
 【0034】
 1・・舗装施工面
 2・・揚水ポンプ
 6・・ケース
 6a・・底板(底面部材)
 6b・・側板(壁面部材)
 6c・・孔
 7・・水路
 10(10a,10b,10c)・・水路管
 11・・透水性舗装材(舗装材)
 12・・孔
 13・・堤壁(壁面部材)
 14・・連結管(連結手段)
 19・・排水路
 20・・舗装面

【図面】
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】